赤ちゃん返り

お子さんは成長と共に自分でできることが増えていきます。

一人でご飯を食べたり、靴を履いたり、着替えをしたり、お手洗いで排泄をしたり、ひとり一人のペースは違いますが、必ず身の回りのことなど自分ででできるようになる日がきます。

一人でできることが増えていくと、お父様やお母様は嬉しいですね。
ですから、次はこれをやらせてみようと次々にお子さんにいろいろなことを教えるようになります。

しかし、今までできていたことが急にできなくなることがあります。

そんな時は、昨日までできていたのに、どうして?と不安になったり、無理やりやらせようとしたりするかもしれません。
けれども、それは逆効果です。

お子さんが急にやらなくなるのには、必ず理由があります。
下のお子さんが生まれたとか、環境が変わったなど、大人が気づかないようなお子さんの気持ちの変化が行動に現われることが多いのです。

お子さんが自立をしていく過程では、必ず依存と自立が繰り返されます。
今日は頑張ってやり、得意になっていたかと思うと、次の日は「できない!やって!」と言ったり、大人の方が振り回されることがあります。
しかし、そのような時は、ただのわがままなのか、不安の現れなのかをよく見極めることが大切です。

幼稚園の入園前や新学期の開始前など、真面目なお子さんは「うまくできるかな?」「お母さんがいないと心配だな。」など、きちんとできなかったらどうしようと不安になり、いろいろなことを考えます。
そうすると、お母様に必要以上に甘えたり、なんでもやってと言い、自分でやりたがらなかったり不安定になったりすることがあります。
又、赤ちゃんが生まれたり環境が変わると、周りの目が自分以外に注目していることに不安や寂しさを感じ、「お母さんは赤ちゃんの方が好きなのかな?」と焼きもちを焼いたり、自分も赤ちゃんのようにミルクを飲みたがったり、急に排泄ができなくなったりします。

しかし、そのような行動は全く心配ありません。

そういう不安定な様子が見られる時は、お子さんを安心させてあげることが何より大切です。
ですから、全てお子さんの要求を聞いてあげ、やってやってということをしてあげて下さい。
「こんなにできなくて大丈夫かしら?」とご心配になると思いますが、本当はできるのですから心配ありません。
今は不安なのでやりたくないし、できないだけなのです。
そこで、怒ったり「どうして?できるでしょう。やってみなさい!」と無理やりやらせるより、お子さんの気持ちに共感してあげ、「お母さんにやって欲しいのね。いいわよ。じゃあ一緒にやろうね。」と認めてあげることで、どんな時も「お母様は自分のことを大好きで甘えられる存在なんだ」と心から安心させてあげることができるのです。

外出規制が続き、新学期の開始が遅れ、ご家庭で過ごす時間が長くなった為に、新しい生活の始まりに親子共に不安を感じていらっしゃることでしょう。

幼稚園では、一人ひとりのお子さんの心に寄り添いながら、できないことは先生と一緒にやっていきます。
ですから、お母様も安心してお子さんの気持ちに寄り添い、関わって頂ければと思います。

お母様のお気持ちが、お子様には自然に伝わるものです。
お母様が安心して生活をしていらっしゃれば、お子様の気持ちも安定します。

今のうちに、たくさん甘えさせてあげて下さい。
お子さんの成長を信じ、見守ることが子育ての中で一番難しいところですね。

成長していく過程では、親として様々な忍耐もあります。
しかし、その何倍も喜びや感動が待っています。
今、お父様やお母様が日々お子さんのために頑張って下さっていることが、必ずやお子さんの成長につながっていくのです。

お子さんが大きくなった時に、「あんな日があったね。」と懐かしく思い出す日がくるでしょう。

お子さんの赤ちゃん返りも、心の成長の証なのです。

2020年05月24日