人間力

私達の生活は、携帯電話やインターネット、SNSの普及によって、大きく変わりました。
人との接し方や連絡の取り方、情報の取り入れ方など、昔とは全く違います。
外出自粛や在宅勤務が続く今の状況では、大変便利でありがたい存在です。

しかし、便利になった為に私達から失われてしまうことがあることを忘れてはいけません。

昔は、友達に連絡をする際、携帯電話ではなくお家に電話をしなければいけなかったので、ご迷惑にならないように電話をする時間を考え、話したい相手に代わってもらう前に、電話に出た方にきちんとご挨拶をしたり、敬語を使ってお話をしなければなりませんでした。
ですから電話にまず出る保護者も、自分の子どもの友達がどんな子なのか知ることができ、子どもも親が他人とどの様に挨拶や会話をしているのかを聞き、身近で学ぶことができました。
電話をする時は、今かけて良い時間か考え、「家族の方が出たらこう挨拶をしよう」などと考えてから、電話をしていました。
そういった経験を積み重ねる事で、世の中の常識やマナーを覚え、行動することが自然とできるようになっていました。

しかし、今は個人持ちの携帯電話が当たり前となり、いつでもどこでも連絡が取れるようになったので、そのような発想や経験は少なくなっています。
また、昔は電話をかける回数の多い親戚や友達などの電話番号は覚えていましたが、今は覚えている人は少ないのではないでしょうか。

また、携帯電話を使うことでなんでも調べられますね。
普段わからない事や困った事があると、皆さんはどうしていますか?
今はネットで検索すると、すぐに答えがいくつも出てくるので、とても便利ですね。
ですから、ついそれに頼ってしまう事が多いと思いますが、本当にそれで良いのでしょうか?

私達は自分の心で感じたり、考えることができるのです。
わからないことは、自分自身で調べたり、人に相談したりすることもできます。

これから成長していく子ども達の未来はどのようになっていくかわかりません。
科学が発達し、更に便利な世の中になっていくでしょう。
仕事もロボットやAIがする事が増え、人々の生活は一変するでしょう。

だからこそ、子ども達に育まなければならないのは人間力です。
自分の頭で考える力、困難に直面した時に解決していこうとする問題解決能力、自分から人や物に関わっていこうとする力、人を思いやる心、このような「様々な場面で力を発揮し、多方面で考えることのできる人間」に育てなければなりません。

その為に、幼児期にはたくさんの直接体験をさせ、考える力、最後まで諦めずやり遂げる強い心、友達を思いやる優しい心、命の大切さを感じ自然を愛し慈しむ心など、頭と心の両面を育む必要があるのです。

そのような目には見えない力を育てていく事が、これからの子ども達には何よりも必要なのでなないでしょうか。

2020年05月15日